第92回(2019年度)アカデミー賞、主要6部門の受賞結果

第92回アカデミー賞授賞式は2019年の映画を対象とし、2020年2月9日(現地時間)に開催されました。

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助演女優賞

受賞 ローラ・ダーン 『マリッジ・ストーリー』
ノミネート キャシー・ベイツ 『リチャード・ジュエル』
ノミネート スカーレット・ヨハンソン 『ジョジョ・ラビット』
ノミネート フローレンス・ピュー 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ノミネート マーゴット・ロビー 『スキャンダル』

プレゼンターは前年に助演男優賞を獲得したマハーシャラ・アリ

受賞発表の直後、ローラ・ダーンは隣りの席にいた母親ダイアン・ラッドとハグ。続いて今作で共演したアダム・ドライバー、スカーレット・ヨハンソンともハグ。スカーレットは助演女優賞を争うライバルでもありましたが、今作『マリッジ・ストーリー』では主演を務め、主演女優賞にもノミネートされていました。

母ダイアン・ラッド自身も女優で、1991年の作品『ランブリング・ローズ』ではアカデミー賞・助演女優賞にノミネートもされています。ちなみに娘ローラ・ダーンも同作で主演女優賞にノミネートされており、親子が同時にノミネートされたのは史上初の快挙でした。

ローラ自身としては、

  • 1991年『ランブリング・ローズ』(主演女優賞ノミネート)
  • 2015年『わたしに会うまでの1600キロ』(助演女優賞ノミネート)

に続き、今回が3度目のノミネートで、初のオスカー獲得となりました。

スピーチの最後、ローラは「私にとってのヒーロー、母ダイアン・ラッドと父ブルース・ダーンと共に喜びを分かち合いたい」と言い、母ダイアンは涙。「私にとって最高の誕生日プレゼントとなりました」と言ってトロフィーを掲げました。

なお『マリッジ・ストーリー』はNetflix作品のため劇場公開はされておらず、DVDリリースもされていません。

助演男優賞

受賞 ブラッド・ピット 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
ノミネート トム・ハンクス 『幸せへのまわり道』
ノミネート アンソニー・ホプキンス 『2人のローマ教皇』
ノミネート アル・パチーノ 『アイリッシュマン』
ノミネート ジョー・ペシ 『アイリッシュマン』

プレゼンターは前年に助演女優賞を獲得したレジーナ・キング

受賞したブラッド・ピットは、オスカー獲得こそ2回目でしたが、1回目は第86回(2014年)に『それでも夜は明ける』で作品賞をプロデューサーとして受賞していました。

俳優部門の受賞は今回が初めて。ここまでが長かった。

  • 1995年『12モンキーズ』(助演男優賞ノミネート)
  • 2008年『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(主演男優賞ノミネート)
  • 2011年『マネーボール』(主演男優賞ノミネート)

今回が4度目のノミネートで初受賞となりました。

共演したレオナルド・ディカプリオとハグしたあと、ステージに上がったブラッド。観衆が大歓声で称えました。

「この賞を、僕のすることすべてに影響を与えてくれる子供たちに捧げます。大好きだよ」と、今は離れて暮らすことになった6人の子供たちに語りかけたブラッド。かつては元妻アンジェリーナ・ジョリーと何度も一緒に出席していたんですけどね。

主演女優賞

受賞 レネー・ゼルウィガー 『ジュディ 虹の彼方に』
ノミネート シンシア・エリヴォ 『ハリエット』
ノミネート スカーレット・ヨハンソン 『マリッジ・ストーリー』
ノミネート シアーシャ・ローナン 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ノミネート シャーリーズ・セロン 『スキャンダル』

プレゼンターは前年に主演男優賞を獲得したラミ・マレック

受賞したレネー・ゼルウィガーは今回が4度目のノミネートで受賞は2回目。前回は2003年の『コールド マウンテン』で助演女優賞を獲得しています。

「(私が演じた)ジュディ・ガーランドはオスカーをもらえなかったけれど、今回の受賞を彼女のレガシーに捧げたいです」とレネーは笑顔でスピーチしました。

主演男優賞

受賞 ホアキン・フェニックス 『ジョーカー』
ノミネート アントニオ・バンデラス 『ペイン・アンド・グローリー』
ノミネート レオナルド・ディカプリオ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
ノミネート アダム・ドライバー 『マリッジ・ストーリー』
ノミネート ジョナサン・プライス 『2人のローマ教皇』

プレゼンターは前年に主演女優賞を獲得したオリヴィア・コールマン

登場するなり「オスカー獲ると老けるわね」と語って笑いを取り、「昨年は最高の夜でした。夫の人生でね」「夫がそう言ったんです。私は出産を3回したんだもの」と続けて会場は爆笑。下ネタだったのか…。

受賞したホアキン・フェニックスは、隣りで目を潤ませる恋人ルーニー・マーラとは視線を合わせず壇上へ。

  • 2000年『グラディエーター』(助演男優賞ノミネート)
  • 2005年『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(主演男優賞ノミネート)
  • 2012年『ザ・マスター』(主演男優賞ノミネート)

そして今回の『ジョーカー』が4度目のノミネートで、初のオスカー獲得となりました。

スタンディングオベーションをする観衆を手で制し、ホアキンはスピーチを開始。

「ノミネートされた他の方々よりも自分が優れているとは思っていません。我々は映画への愛を共有する同志です」

「以前の私は自己中心的でダメな人間でした。冷酷で、協調性もありませんでした。それでも多くの人々が私に2度目のチャンスをくれたのです」

穏やかな口調で殊勝に話していたホアキンは最後に、23歳で急死した兄、リヴァー・フェニックスが17歳の時に書き記していた言葉を紹介してスピーチを終えました。

「愛をもって救済に走れば、平和が追ってくる」

監督賞

受賞 ポン・ジュノ 『パラサイト 半地下の家族』
ノミネート マーティン・スコセッシ 『アイリッシュマン』
ノミネート トッド・フィリップス 『ジョーカー』
ノミネート サム・メンデス 『1917 命をかけた伝令』
ノミネート クエンティン・タランティーノ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

プレゼンターは映画監督のスパイク・リー。前年に『ブラック・クランズマン』でアカデミー脚色賞を獲得しています。

既に脚本賞と国際長編映画賞を獲得し、壇上でスピーチをしていたポン・ジュノ監督。スパイク・リーから名前を呼ばれ、隣席にいた『パラサイト』の主演俳優、ソン・ガンホから祝福されるものの、本人はパニック。

スピーチの冒頭、「国際長編映画賞を頂いて、今日の仕事はもう終わった、と気を抜いていました」と苦笑し、観客の笑いを誘います。

「若い頃、映画の勉強をしていた際に、ある人の本を読み、そこに書かれていた言葉が支えとなっていました」と言ったポン監督は、観客席を指し「その言葉の主は、偉大なマーティン・スコセッシ監督です」と紹介。

会場が拍手に包まれ、マーティン・スコセッシ監督に対してスタンディングオベーション発生。スコセッシ監督は照れながら観衆とポン監督に感謝の意。

「まさか自分がスコセッシ監督と共にノミネートされ、しかも監督賞を獲ることが出来るなんて思いませんでした」とポン監督。さらには自分の作品がまだアメリカで無名だった時期から推してくれていたクエンティン・タランティーノ監督にも感謝の言葉を送っていました。

スピーチの最後、国際長編映画賞の時と同様に「今夜は朝まで飲みます」と続けて笑いを取り、締めたつもりでしたが、まだこの後にもサプライズが待っていました。

韓国人監督が監督賞を受賞したのは史上初。

作品賞

受賞 『パラサイト 半地下の家族』
ノミネート 『フォードvsフェラーリ』
ノミネート 『アイリッシュマン』
ノミネート 『ジョジョ・ラビット』
ノミネート 『ジョーカー』
ノミネート 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ノミネート 『マリッジ・ストーリー』
ノミネート 『1917 命をかけた伝令』
ノミネート 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

プレゼンターはジェーン・フォンダ

ノミネートされた9作品の中から受賞作として読み上げられたのは『パラサイト』。悲鳴にも似た歓声が沸き起こり、ポン・ジュノ監督は半ばポカーン。俳優陣やスタッフは大歓喜。予想もできなかった「パラサイト旋風」に、目を丸くして驚く人や、「オーマイガー!」と叫ぶ人も。

韓国作品が作品賞を受賞したのも史上初、そもそも英語以外の作品が受賞したのも史上初となる快挙となりました。

1人目の女性がスピーチを終えた後、2人目の女性がマイクを持ったのですが、放送時間が押していたのか、ステージの端で「締めの言葉」を言う役割のジェーン・フォンダにスポットライトが移り、ステージ中央の照明もオフ。マイク音声も消されてしまったのだそうです。

これをヨシとしなかった観衆が「Up(アップ)! Up!」と受賞者に再びマイクオン&スポットライトを当てるよう連呼。すぐにスタッフが照明を戻し、2人目の女性は無事スピーチを続けることができました。

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